小説版退付喪霊 音音 第12話     

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  めきめきと成長してきた音羽にコイは感服
していたんだよ。 
 百目鬼にも対抗できるであろう力はもう音
羽には十分ついていたんだ。 
 だが、まだ教えていないこの世界の真実に
触れた時、音羽はどういった判断を下すのか
コイは少し不安でもあったんだ。 
「それでは、おーらが感じられた所で封印の
力をお教えしましょう。これはこの世界での
み使える力で、天界、魔界とこの世界(人界)

力があれば魔の力にも脅かされず神に先導さ
れずとも人間の力でこの世界を守ることがで
きるのですよ」 
「その力を持てば百目鬼を封印することがで
 きますか?」 
「もちろんです。百目鬼を封印することで魔
 界と神界の均衡を保て世界(人界)の平和も
 保たれます。しかし・・・・」 
 コイは言葉につまり悲しげな表情をしたん
だよ。 
「音羽さん。百目鬼はそもそも悪い妖怪だと
 思いますか?」 
 コイの言葉に音羽はきっぱりと答える。 
「もちろんです!兄たちや私たち家族をめち
 ゃくちゃにした張本人ではありませんか!
 なぜそのような事を聞くのですか??悪い
 妖怪に決まっています」 
 コイはまだ不安そうに溜息をついたよ。 
「本当にそうなのでしょうか?百目鬼は人と
 しての楽しみを貴方のお兄さんに教えてあ
 げただけなのですよ?そもそも百目鬼はと
 ても無垢で純粋な妖怪なのです。悪気があ
 って誘惑しているわけではないのです」 
「そんな!?コイさんは百目鬼の味方をする
 のですか?」 
「そうではありません。世の中というものは
 善悪が二手にきっぱり分かれているわけで
 はないんです。あなたはもっと視野を広げ
 なければいけませんよ。違った側面から真
 目鬼が悪い妖怪だと言い切れるでしょうか
 ?そうして冷静に冷酷に百目鬼を封印する
 ことができますでしょうか?封印の力をお
 教えする前に少しお話をしましょう」 
 神妙な顔でコイは音羽を見つめたよ。
 音羽はコイからただよう緊張感に少し戸惑
ったが音羽の決意もまた固かったんだ。ゴク
リを喉を鳴らすとコクリと音羽は頷いてコイ
を力いっぱい見つめ返したのさ。
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監修 赤い羽根のCB    
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