小説版退付喪霊 音音 第18話     

 前話 次話  Topへ

 
 音羽の攻撃を受け、倒れた百目鬼だが、ま
だ生きていたよ。 

『誰でも良かった私を連れ出してくれるなら
……何処でもいい……ここじゃない何処に…
…此処は……私には苦し過ぎる』 

 百目鬼はそう呟いているが動く気配がなく
そしてそれを見てコイが前にでて百目鬼を睨


「これでおわりよ!」 

 そう言ってコイが留めを刺そうとした時だ
った。 

「やめて!」 

「……音羽さん?」 

 音羽が留めを刺そうとするコイを止め、百
目鬼の前にでた。 
 しかし、いくら倒したとは言え、先程は音
羽とコイを殺そうとし百目鬼。 
 生身の音羽には、危険なモノである事には
変わらなかったよ。 

「ちょッ! 音羽さん!?」 

 それに気付き、慌てて止めようとするコイ
に音羽は……。 

「大丈夫……後は私が……」 

 そう言う音羽の顔は先程とは違い笑顔だっ
た。 
 文字通り、その笑顔に迷いは無かったのさ。 

「逃げたい……誰かに救ってもらいたい…
…農家なんてクソ食らえよ!」 

「お……音羽さん?」 

 普段の音羽からはありえない言葉が出て来
てコイが驚く中、音羽は話しを続ける。 

「そうね、確かにそれも私の気持ち。あなた
私だね……私ばっかり辛い目に可哀相な私…
…縛られてばかりで自由に成れない」 

「……」 

 音羽の話しを皆が黙って聞く。 
 前話 次話  Topへ

 

(C)2013 川西ナナミ    
監修 赤い羽根のCB    
(C)2013 アドパソコン教室