小説版退付喪霊 音音 第13話     

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  コイの話を要約するとだね、百目鬼は人間
の心が生んだ妖怪なんだそうな。 
 人が持つ
「金が欲しい!」
 だったりとか
「毎日仕事ばかりで疲れる!働きたくない!」
「なんであいつばっかりめぐまれてるんだ!
足を引っ張ってやる!」
 など常に人間に憑いて回る負の感情が具現
化したものなんだよ。 


言したり知恵を貸したりしているんだけれど
もその行為はその人間のみの欲求を解消する
事はできても周りにいる者たちにとってはた
まったもんじゃなかったんだよ。 
「それでは百目鬼は兄たちに悪気があってた
ぶらかしているわけではないというのですね
・・」 
「そうです。そもそも音羽さんのお兄さんた
ちは休むことなく毎日働いていたのですよね
?それが普通だと思っていたのでしょう。百
目鬼に会うまでは・・・」 
「・・・・・」 
 音羽はコイの言葉を聞いて沈痛な面持ちで
黙り込んでしまったんだよ。そして今までの
自分を省みて如何に兄たちに頼りきりだった
のか痛感しどうして兄たちを手伝ってあげた
り労わってあげなかったのかと後悔したんだ。
 こうなる前に自分もできることがあったん
ではないかとね。 
「私は今まで兄たちに頼るばかりで何も自分
でしようとはしてこなかったのです。でも、
今の私は違います。コイさんと出会って修行
することで力を授かりました。この力で兄た
ちを救ったらもっと兄たちに孝行してあげた
いなって思ってるんですよ。」 
 コイはにこやかに笑いながら言葉を続けた
よ。 
「成長しましたね、初音さん。修行すること
で心も強くなったようです。物事を一方向で
見ないとういのは大事な事です。当然だと思
っていることでも相手に負担を強いている事
もあります。」 
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監修 赤い羽根のCB    
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