小説版退付喪霊 音音 第8話     

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  その空気を感じ取ったのかコイは続けて 
「それでは、まずは実践してみましょう。」
 コイはそう言うと人差し指を突出してつぶ
やいた。 
「地獄の底から湧き出る灼熱の炎!『火の玉
』よ!い出よ!」 
 コイの指先から少し離れたところにコイの
頭一個分ぐらいの火の玉が出現したよ。
 赤い炎がゴウゴウと湧き出ていてとても熱
そうに音羽には見えたんだ。 
「今、私はこの大きさの火の玉と体内の魔の
力がそう変換される事を想像し言葉をその発
現呪文としたのです。どんな言葉でも構わな
い。言葉に意志を乗せる事が大事なのです。
最も貴方の意志がこもる言葉を呪文にするの
です。」 
 そう言葉を続けている間も火の玉は存在し
続け、コイが話し終わると同時に消えたのさ
「魔の力によって生じた現象の継続時間によ
って当然消費する魔の力も異なります。今消
えたのは私が魔の力の流出を止めたからで燃
え移るものがなかったので消えたのです。さ
て、今まで訓練した杖を持ち魔の力を操作し
てそれを火の玉にしてみなさい。」 
 音羽はもともと好奇心旺盛で想像好きだ。
そう言われるとかなり詳細に想像できたのさ。
杖をぎゅっと握って目を瞑ったよ。 
(炎という事は、まず燃えるもの!と言えば
どんど焼きだわ。どんど焼きを想像して魔の
力をどんど焼きのあの炎に!そして刀鍛冶屋
の熱い釜の火を想像しようっと。杖の先にど
んど焼きと熱い釜の火を!!!) 
「どんど焼きと熱い釜の火を加えたとっても
熱い炎よ!!!」 
 音羽が体から何かが抜け出るのを感じると
杖先から青白い球体(一部円錐状に欠けて)が
現れた。
「うわちちちち。」 
 杖先が燃えだして熱を感じ、あわてて杖を
振り回すと青白い火の玉が消えたんだ。 
「うわー失敗したぁ。炎を出す場所を杖先で
考えてしまったわ。でも、火の玉が出たから
成功なのかしら? ねっ成功ですよね。」 
 音羽は嬉しそうにコイに尋ねたよ。 
 コイは驚いた顔をして 
「もちろん成功ですが、なぜ炎の色が青色な
のでしょうね?」 
「なんででしょうか。物凄く熱い炎を想像し
たらこのようになったのです。」 
 と、さっきの燃える想像に関して伝えると
少し羨ましそうに 
「どうやら貴方は、詳細に現象を想像する事
ができるようですね。それは最初に説明した
効率良く現象を発現する事に恐ろしく役立ち
ますよ。私が感じたところ三倍ぐらいの温度
差があった様です。発現場所は注意しないと
杖どころか指が燃えてなくなりますから、場
所を注意しながら続けて練習しましょう。」 
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監修 赤い羽根のCB    
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