「肌身離さず持ち歩くんですね!なかなか簡 単なようで難しいかも・・・」 お風呂の時とかどうするんだろう?っと音 羽は考えたよ。 「それは大丈夫ですよ。音羽さん。貴方の想 像力で杖の大きさなどどうにでもできます。 試しに杖を首飾りになるように想像してみて ください。」 「分かりました!やってみます。」 音羽は杖を右手でぎゅっと握ると目を閉じ 自分の好みの首飾りになるように念じたよ。 すると杖はパーっと明るい光で包まれたか と思うと、みるみる内に小さくなっていくで はありませんか! 「凄い!」 小さくなった杖は音羽の右手に収まるくら いの大きさになっていたよ。その周りには革 状の紐が付いていて、これなら首に下げて肌 身離さず持ち歩ける!と音羽は思ったんだ。 「素晴らしい!音羽さん。これで一安心です ね!」 コイは満足そうに拍手をしてうんうん頷い ていたよ。 「それでは十日後、牛の刻にまたここで会い ましょう」 「分かりました!」 「十日後には魔の力をすっかり使えるように なっているはずだから次の修行に移りますよ。 音羽さんはこの十日間、杖を肌身離さず持ち 歩き自分の体の一部にすることがこの修行の 目的になります。わかりましたね!」 「分かりました!」 十日後の牛の刻。 辺は静寂と闇に包まれており、梟の鳴き声 が響き渡っていたよ。 音羽はコイに小さくなった杖を見せていた んだ。コイは音羽から杖を預かるとうんうん 頷きながら音羽に語りかけたよ。 「えー、見事に十日間の修行による成果がみ られました。次の段階に移行すします。」 「魔の力は、簡単に言えば体内の魔の力を想 像することにより体外で発現する事によって なりたっています。」 「ふむふむ」 「その効力は与えられた魔の力そのものの大 きさだけでなく、いかに効率良く発現できる かによって変わってくるのですよ。」 「ふむふむ?」 「わかってますか?」 「わかりません。」 音羽の素直な反応にコイはふふっと笑ったよ。 「・・・・・・つまり魔の力が強ければ強 い力として出す事が出来るのは理解できます か?」 「何となく…」 「魔の力が同じでも体外へ出す効率が悪いと 威力が弱まってしまうのです。」 「あっ、分かりました。」 「よろしい。その効率を高めるためには妄想 や想像力であったり、体内と体外の境界での 違いを少なくする触媒が用いられます。一般 には呪文であったりするのです。」 コイは音羽に分かりやすいようにかなり噛 み砕いて説明を行ったよ。 コイはこれまでの音羽との会話から、目に は見えない魔の力の概念を説明するには具体 的な説明が必要と判断し、それが功を奏して いたんだ。 音羽にしてみると、(理屈はいいから早く 魔の力を教えてくれ。わくわく。)という感 じで好奇心旺盛であったのも心理的に良かっ たんだね。 又、コイは褒めるのがとても上手で音羽は 褒められて伸びるタイプだったんだよ。 |