小説版退付喪霊 音音 第6話     

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 「よく来ましたね。それでは今から貴方には
修行をしてもらいます」 
 真っ暗闇の神社でコイの声だけが響き渡っ
ていたよ。 
 約束通り午前三時の神社は夜明け前の静け
さと薄暗さ、そして夜の気配がまだ支配して
おり妙な感覚になるんだよ。 
「音羽さんにはある力を習得してもらいます」 
 コイはそう語りかけると力についての説明
を始めたよ。 
「力を得るにはまず自然との融和が必要なん
です。自然との一体化の修行からはじめまし
ょう。さて、それでは私の自慢の工房に行っ
て説明でもしましょう。」 
 コイがそう言って歩き出すので、あわてて
その後を音羽は追う。古びた庵なのであるが
どこか異世界のような雰囲気のへやであった。
 怪しげなからくりがおいてあった。 
 「ああ、危ないものもあるから勝手に触れ
ないで下さいね。大事なことは少しずつ覚え
てもらいますから。」 
 そう言ってニヤリとする笑顔がちょっと怖
く音羽には見えたのさ。 
「力つまりは魔力は生命体の持つ力ゆえに一
定ではないです。体調や集中度合、状況など
でゆらぎをもっています。ただ、ある程度の
固有魔力というのは測定する事ができます。
大きさの異なる石を持ち上げて筋力を測定す
る事と似ています。」
 音羽は真剣な面持ちで頷いていたよ。 
「さて、それではこの杖を握って力を送り込
む様に意識をしてみて下さいね。この杖は自
分の手の一部だと思うことが大事ですよ」
 コイが取り出した杖を手に持ち力を与える
ように集中していたよ。 
「もっと真剣にに自分の手の延長だと想像す
るのです。自分の手のように自由自在に動か
せる。想像から何でも生み出せるようにと!」 
「わかりました!」 
 すると杖の先が橙色の光を花火のように明
るくともしたかと思うと一瞬にして燃え上が
りパッと消えてしまったんだ。
 音羽はそれと同時にとても体力が消耗され
たのを感じていたよ。 
「素晴らしい!さすが私が見込んだだけの逸
材!想像力だけでここまでこの杖を扱えるよ
うになるとは!!」 
 そういわれれば音羽も悪い気がせず、えへ
へぇ、とにやけてしまったんだよ。 
 更にコイは言葉を続けたのさ。 
「ですが杖との一体化する意識が音羽さんに
はまだまだ足りませんね。この杖を使うこと
でどんな形の攻撃でも防御でも思うがままに
具現化することができるようになるのです。」 
 音羽は首を傾げながら尋ねたよ。 
「どうすれば思うがままに具現化出来るよう
になるのでしょうか?」 
「それはやはり寝ているときはもちろんのこ
と起きている時も肌身離さず持ち続けている
事が大事ですね。肌身離さず持ち続けている
ことで体との一体感がまします。飲み込みの
早い貴方のことです。10日間も持ち続けて
いれば大分自在に操れるようになるはずです」

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監修 赤い羽根のCB    
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